論語、素読会

子曰わく、其れ恕か|「論語」衛霊公第十五24

子貢が尋ねて言います、ひと言で生涯これを行うべきということはあるでしょうかと。孔先生がおっしゃった、それは「恕」他者への思いやりであろうか。自分が望まないことを他人に用いることがないことだ。|「論語」衛霊公第十五24

【現代に活かす論語】
自分が望まないことを他人にすることがないように。生涯これを行うべきです。

【解釈】

子貢(しこう) … 姓は端木(たんぼく)、名は賜(し)、字は子貢(しこう)。孔子より三十一歳若い。「論語」の中で孔子との問答がもっとも多い。

子貢問うて曰わく、一言にして以て身を終うるまで之を行うべき者有りや。子曰わく、其れ恕か。己の欲せざる所、人に施すこと勿れ。|「論語」衛霊公第十五24
子貢問曰、有一言而可以終身行之者乎。子曰、其恕乎。己所不欲、勿施於人。

「者」(もの)はもの、こと。「恕」(じょ)は他者への思いやり。『恕』とは?|論語、素読会「所」(ところ)は…する事物。「施」(ほどこす)は加える、用いる。

子貢が尋ねて言います、ひと言で生涯これを行うべきということはあるでしょうかと。孔先生がおっしゃった、それは「恕」他者への思いやりであろうか。自分が望まないことを他人に用いることがないことだ。

【解説】
「恕」についてこちらの章句を参照してください。「子曰わく、参や、吾が道一以て之を貫く。 〜中略〜 曾子曰わく、夫子の道は、忠恕のみ。|「論語」里仁第四15
「恕」は他者への思いやりと比較的明確な意味であるのに対して、「仁に里るを美と為す|「論語」里仁第四01」のように「仁」は同じ思いやりの心でも、常に自分自身の心の有り様であると感じます。
また、この章句では子貢が質問をしていることに注目する必要があります。「ひと言で生涯これを行うべき」と他の弟子が尋ねた場合、孔子は他の答えを与えるかも知れません。子貢が引き出した回答と言うことができると思います。


「論語」参考文献|論語、素読会
衛霊公第十五23< | >衛霊公第十五25


【原文・白文】
 子貢問曰、有一言而可以終身行之者乎。子曰、其恕乎。己所不欲、勿施於人。

(子貢問うて曰わく、一言にして以て身を終うるまで之を行うべき者有りや。子曰わく、其れ恕か。己の欲せざる所、人に施すこと勿れ。)
【読み下し文】
 子貢(しこう)問(と)うて曰(い)わく、一言(いちげん)にして以(もっ)て身(み)を終(お)うるまで之(これ)を行(おこな)うべき者(もの)有(あ)りや。子(し)曰(のたま)わく、其(そ)れ恕(じょ)か。己(おのれ)の欲(ほっ)せざる所(ところ)、人(ひと)に施(ほどこ)すこと勿(なか)れ。


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衛霊公第十五23< | >衛霊公第十五25


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