論語、素読会

天下の民心を帰せん|「論語」堯曰第二十02

おもり、ますなどの度量衡を厳正にし、法律や制度を明確にし、衰退した官職を復活させれば、天下の政治がうまく行われるだろう。滅んだ国を復興させ、後継者が絶えた家を引き継がせ、隠居している賢者を挙げ用いれば、天下の人民は心からつき従うだろう。人民にとって大事なものとは、食・葬・祭である。人に寛大であれば多くの人々(から人望)得られ、信(まこと)があれば人民は厚く信用し、機敏であれば功績があがり、公正であれば人民は心からうれしく思う。|「論語」堯曰第二十02

【現代に活かす論語】
人の上に立つ立派なリーダーが、人に寛大であれば多くの部下から人望を得られ、誠があれば部下は厚く信用し、機敏であれば功績があがり、公正であれば部下は心からうれしく思います。

【解釈】

権量を謹み、法度を審らかにし、廃官を修むれば、四方の政行われん。滅国を興し、絶世を継ぎ、逸民を挙ぐれば、天下の民心を帰せん。民に重んずる所は食喪祭。寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち民任じ。敏なれば則ち功有り、公なれば則ち説ぶ。|「論語」堯曰第二十02
謹権量、審法度、修廃官、四方之政行焉。興滅国、継絶世、挙逸民、天下之民帰心焉。所重民食喪祭。寛則得衆、信則民任焉。敏則有功、公則説。

「権」(けん)は秤の分銅、おもり。「量」(りょう)は計量器、ます。「権量」(けんりょう)ははかる、比較する。「謹」(つつしむ)はきびしくする。「法度」(ほうど)はきまり、法律や制度。「審」(つまびらかにす)は知りつくす、明らかにする。「廃」(はい)は衰退しているさま。「修」(おさむる)は直す、つくろう。「四方」(しほう)は天下。「政」(まつりごと)は政治。「滅」(めつ)は絶滅させる、たやす、すっかりなくなる。「興」(おこす)は栄えさせる、盛んにする。「絶世」(ぜっせい)は後継者のいない家。「継」(つぐ)は継承する。「逸民」(いつみん)は世をのがれ隠居している人。「挙」(あげる)は〔すぐれた人材を〕推薦する、選抜する。「帰」(きす)は帰属する、つき従う。「重」(おもんずる)はたっとぶ、大事なものと見なす。「寛」(かんなる)は人に対してきびしくないさま。「衆」(しゅう)は多くの人々。「信」(しん)は信義、まこと(誠)。『信』とは?|論語、素読会 「任」(にん)は厚く信用する。「敏」(びん)は行動がすばやい。「功」(こう)はてがら。「公」(こう)は正しく、かたよっていないさま。「説」(よろこぶ)は心からうれしく思う。

おもり、ますなどの度量衡を厳正にし、法律や制度を明確にし、衰退した官職を復活させれば、天下の政治がうまく行われるだろう。滅んだ国を復興させ、後継者が絶えた家を引き継がせ、隠居している賢者を挙げ用いれば、天下の人民は心からつき従うだろう。人民にとって大事なものとは、食・葬・祭である。人に寛大であれば多くの人々(から人望)得られ、信(まこと)があれば人民は厚く信用し、機敏であれば功績があがり、公正であれば人民は心からうれしく思う。

【解説】

文献によっては、前の章句の尭帝、舜帝、禹帝、殷の湯王、周の武王の言葉と並べて解釈しています。本章句は武王の言葉であるという解釈と、孔子の言葉であるという解釈に分かれます。本ブログでは、こだわらず、特定せずに解釈しますが、孔子の考え方を示す章句という位置づけは変わらないと思います。


「論語」参考文献|論語、素読会
堯曰第二十01< | >堯曰第二十03


【原文・白文】
 謹権量、審法度、修廃官、四方之政行焉。興滅国、継絶世、挙逸民、天下之民帰心焉。所重民食喪祭。寛則得衆、信則民任焉。敏則有功、公則説。
<謹權量、審法度、修廢官、四方之政行焉。興滅國、繼絶世、擧逸民、天下之民歸心焉。所重民食喪祭。寛則得衆、信則民任焉。敏則有功、公則説。>

(権量を謹み、法度を審らかにし、廃官を修むれば、四方の政行われん。滅国を興し、絶世を継ぎ、逸民を挙ぐれば、天下の民心を帰せん。民に重んずる所は食喪祭。寛なれば則ち衆を得、信なれば則ち民任じ。敏なれば則ち功有り、公なれば則ち説ぶ。)
【読み下し文】
 権量(けんりょう)を謹(つつし)み、法度(ほうど)を審(つまび)らかにし、廃官(はいかん)を修(おさ)むれば、四方(しほう)の政(まつりごと)行(おこな)われん。滅国(めっこく)を興(おこ)し、絶世(ぜっせい)を継(つ)ぎ、逸民(いつみん)を挙(あ)ぐれば、天下(てんか)の民(たみ)心(こころ)を帰(き)せん。民(たみ)に重(おも)んずる所(ところ)は食喪祭。寛(かん)なれば則(すなわ)ち衆(しゅう)を得(え)、信(しん)なれば則(すなわ)ち民(たみ)任(にん)じ。敏(びん)なれば則(すなわ)ち功(こう)有(あ)り、公(こう)なれば則(すなわ)ち説(よろこ)ぶ。


「論語」参考文献|論語、素読会
堯曰第二十01< | >堯曰第二十03


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