論語、素読会

仁者は必ず勇有り|「論語」憲問第十四05

孔先生がおっしゃった、「徳」(人が生まれながらに高めていく思いやりや信頼の心)がある者は必ずよい言葉がある。よい言葉がある人に必ずしも「徳」があるとは限らない。「仁者」(私心がなく思いやりの心を持った人)は必ず勇敢である。勇者は必ずしも「仁」(思いやりの心がある)とは限らない。|「論語」憲問第十四05

【現代に活かす論語】
人徳がある人は必ず善い発言がある。善いことを言うからといって必ずしも人徳があるとは限らない。思いやりがあり私心がない人は必ず勇敢である。勇気があるからといって必ず思いやりがあるとは限らない。

『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討

04:40「憲問第十四」前半01 – 21 素読
2023.11.22収録

【解釈】

子曰わく、徳有る者は必ず言有り。言有る者必ずしも徳有らず。仁者は必ず勇有り。勇者は必ずしも仁有らず。|「論語」憲問第十四05
子曰、有徳者必有言。有言者不必有徳。仁者必有勇。勇者不必有仁。

「徳」(とく)は人間が生まれながらに高めていく思いやり(仁)や信頼(信)の心。『徳』とは?|論語、素読会 「言」(げん)は話しことば、ことば。「仁」(じん)は思いやりの心、仁者は私心がなく思いやりの心を持ったひと。『仁』とは?|論語、素読会 「勇」(ゆう)は勇敢な、勇猛な。

孔先生がおっしゃった、「徳」(人が生まれながらに高めていく思いやりや信頼の心)がある者は必ずよい言葉がある。よい言葉がある人に必ずしも「徳」があるとは限らない。「仁者」(私心がなく思いやりの心を持った人)は必ず勇敢である。勇者は必ずしも「仁」(思いやりの心がある)とは限らない。

【解説】

「言」とは単に言葉ということではなく、善い言葉、聞くに値する言葉を指しています。「巧言令色鮮なし仁|「論語」学而第一03」当然、この章句で批判されているような、美辞麗句ではありません。
仁者は勇敢であるといいますが、例えば「宰我が孔子に尋ねた、仁徳があるひとは、井戸にひとが墜ちていると告げられたら、それを信じて助けるでしょうか。孔先生がおっしゃった、どうしてそうするだろうか。君子は井戸まで往くべきだが、救うために墜ち入ることはできない。欺くことはできても、本当に騙すことはできない。|「論語」雍也第六24」この章句のように闇雲に果敢に行動するのではなく、思慮深さがあって勇敢であること。これこそが「仁者」です。孔子の考え方を端的に示した、非常に明確な章句だと思います。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四04< | >憲問第十四06


【原文・白文】
 子曰、有徳者必有言。有言者不必有徳。仁者必有勇。勇者不必有仁。
<子曰、有德者必有言。有言者不必有德。仁者必有勇。勇者不必有仁。>

(子曰わく、徳有る者は必ず言有り。言有る者必ずしも徳有らず。仁者は必ず勇有り。勇者は必ずしも仁有らず。)
【読み下し文】
 子(し)曰(のたま)わく、徳(とく)有(あ)る者(もの)は必(かなら)ず言(げん)有(あ)り。言(げん)有(あ)る者(もの)必(かなら)ずしも徳(とく)有(あ)らず。仁者(じんしゃ)は必(かなら)ず勇(ゆう)有(あ)り。勇者(ゆうしゃ)は必(かなら)ずしも仁(じん)有(あ)らず。


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