論語、素読会

孔文子は何を以て之を文と謂うや|「論語」公冶長第五15

子貢がこのように尋ねた、孔文子はどうして「文」という最上の贈り名を得たのですか? 孔先生がおっしゃった、生まれつき利発ながら学問に熱心で、目下の者にも教えを請うことを恥と思わなかった。故に「文」という贈り名を受けたのだ。|「論語」公冶長第五15

【現代に活かす論語】
古代中国に死後「文」という最上の贈り名を受けた人物がいた。彼は生まれつき利発であったが学問に熱心で、目下の者にも教えを請うことを恥ずかしがらなかった。

『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討
07:25 「公冶長第五」前半01-15 素読
2021.7.19収録

【解釈】

子貢(しこう) … 姓は端木(たんぼく)、名は賜(し)、字は子貢(しこう)。孔子より31歳若い。「論語」の中で孔子との問答がもっとも多い。言葉巧みな雄弁家で自信家だったが、孔子には聡明さを褒められ、言葉の多さを指摘されている。経済面で能力が高かったと言われている。「論語」の登場人物|論語、素読会

孔文子(こうぶんし) … 仲叔(ちゅうしゅくぎょ)。姓は孔、名は、贈り名は文。衛の国の大夫。贈り名として「文」は最上の文字。「論語」の登場人物|論語、素読会

子貢問うて曰わく、孔文子は何を以て之を文と謂うや。子曰わく、敏にして学を好み、下問を恥じず、是を以て之を文と謂うなり。|「論語」公冶長第五15
子貢問曰、孔文子何以謂之文也。子曰、敏而好学、不恥下問、是以謂之文也。

「文」(ぶん)は最上の贈り名。「敏」(びん)は才能が優れている利発である。「下問」(かもん)は目下の者に質問すること。

子貢がこのように尋ねた、孔文子はどうして「文」という最上の贈り名を得たのですか? 孔先生がおっしゃった、生まれつき利発ながら学問に熱心で、目下の者にも教えを請うことを恥と思わなかった。故に「文」という贈り名を受けたのだ。

【解説】

子貢の質問によって、死後に贈られた名、諡(おくりな)の中でも最上の「文」がどのような人物に贈られたのかを知ることができます。孔文子の人物評というより、子貢は「文」の持つ意味に興味があったのではないでしょうか。


「論語」参考文献|論語、素読会
公冶長第五14< | >公冶長第五16


【原文・白文】
 子貢問曰、孔文子何以謂之文也。子曰、敏而好学、不恥下問、是以謂之文也。
<子貢問曰、孔文子何以謂之文也。子曰、敏而好學、不恥下問、是以謂之文也。>

(子貢問うて曰わく、孔文子は何を以て之を文と謂うや。子曰わく、敏にして学を好み、下問を恥じず、是を以て之を文と謂うなり。)
【読み下し文】
 子貢(しこう)問(と)うて曰(い)わく、孔文子(こうぶんし)は何(なに)を以(もっ)て之(これ)を文(ぶん)と謂(い)うや。子(し)曰(のたま)わく、敏(びん)にして学(がく)を好(この)み、下問(かもん)を恥(は)じず、是(これ)を以(もっ)て之(これ)を文(ぶん)と謂(い)うなり。


「論語」参考文献|論語、素読会
公冶長第五14< | >公冶長第五16