論語、素読会

上礼を好めば、則ち民使い易きなり|「論語」憲問第十四43

孔先生がおっしゃった、為政者が古くからの礼儀礼節を大切にすれば、人民は働かせ易くなる。|「論語」憲問第十四43

【現代に活かす論語】
組織のトップ、リーダーが礼節・規範に従って行動していれば、部下は従うのです。

『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討

07:15「憲問第十四」後半22 – 46 素読
2024.2.8収録

【解釈】

子曰わく、上礼を好めば、則ち民使い易きなり。|「論語」憲問第十四43
子曰、上好礼、則民易使也。

「上」(かみ)は国君(諸侯)あるいは皇帝。「好」(このむ)は愛する、深く心がひかれる。「礼」(れい)は広く礼儀や礼節、古くからこうあるべきとされている大切なもの。『礼』とは?|論語、素読会 「則」(すなわち)は…ならば。「民」(たみ)は統治されている庶民、民くさ、一般の人々。「使」(つかい)ははたらかせる。「易」(やすい)はむずかしくない。

孔先生がおっしゃった、為政者が古くからの礼儀礼節を大切にすれば、人民は働かせ易くなる。

【解説】

この章句は、単独で解釈するより前の章句と併せて解釈するのがいいでしょう。ここでいう「礼」とは、前の章句の、君主が三年間喪に服すという当時の礼節を指と解釈すると理解がすすみます。喪に服す間、私生活だけでなく政務に対しても積極的な活動を慎むということですが、孔子の時代の遙か前から周代を経て形成された「礼」を「上」が守れば、政務を代行する者の指示に従うということではないでしょうか。
論語が、官職を得て政事に携わる者のテキストであるとすれば、君主を補佐する「冢宰(ちょうさい)」という役目かまたは「冢宰」を直接補佐する役職について論じていると考えられます。つまり、前の章句の子張のように、喪に服している三年間の政事の空白がどうであるかと論じるのは早計で、君主が礼を好めば、人民はそれを理解し、代行者に従うと孔子は伝えていると解釈します。
さらに、私が好きな表現は「好」という部分です。従うではなく好むという表現は君主自ら「礼」に寄り添うような雰囲気を感じます。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四42< | >憲問第十四44


【原文・白文】
 子曰、上好礼、則民易使也。
<子曰、上好禮、則民易使也。>

(子曰わく、上礼を好めば、則ち民使い易きなり。)
【読み下し文】
 子(し)曰(のたま)わく、上(かみ)礼(れい)を好(この)めば、則(すなわ)ち民(たみ)使(つか)い易(やす)きなり。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四42< | >憲問第十四44


※Kindle版