論語、素読会

命を為るに、裨諶之を草創し|「論語」憲問第十四09

孔先生がおっしゃった、外交文章を作成するには、鄭の大夫・裨諶が草案をつくり、大夫の世叔は内容を討論し、使者の子羽が文章を整えて飾り、東里にいる子産が美しく仕上げた。|「論語」憲問第十四09

【現代に活かす論語】
重要な書面の作成にあたっては、複数人で役割を分担して確認し、経験者の意見を取り入れて行うのがよい。

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00:00 章句の検討

06:55「憲問第十四」前半01 – 21 素読
2023.11.29収録

【解釈】

「裨諶」(ひじん) … 名は皮。鄭(てい)の大夫。「論語」の登場人物|論語、素読会

「世叔」(せいしゅく) … 鄭(てい)の大夫。簡公(かんこう)、定公(ていこう)、献公(けんこう)に仕えた。「論語」の登場人物|論語、素読会

「子羽」(しう) … 公孫揮(こうそんき)とも言う。鄭(てい)の大夫。使者を勤めたので諸国の風習をよく知る。「論語」の登場人物|論語、素読会

「子産」(しさん) … 鄭(てい)の国の大夫。姓は公孫(こうそん)、名は僑(きょう)、子産は字。優れた政治家。教養人とたたえられる。晋(しん)・楚(そ)の両国に挟まれた鄭の国力の充実に尽力した。「論語」の登場人物|論語、素読会

子曰わく、命を為るに、裨諶之を草創し、世叔之を討論し、行人子羽之を修飾し、東里の子産之を潤色す。|「論語」憲問第十四09
子曰、為命、裨諶草創之、世叔討論之、行人子羽修飾之、東里子産潤色之。

「命」(めい)は政府の公文章。「為命」(めいをつくる)は通告を書く。「草創」(そうそう)は文章の下書きをつくる。「行人」(こうじん)は使者。「修飾」(しゅうしょく)は整えて飾りたてる。「潤色」(じゅんしょく)は文章などを飾って、美しく仕上げる。

孔先生がおっしゃった、外交文章を作成するには、鄭の大夫・裨諶が草案をつくり、大夫の世叔は内容を討論し、使者の子羽が文章を整えて飾り、東里にいる子産が美しく仕上げた。

【解説】

鄭の四人の大夫が協力して外交文章を作成していることを紹介した章句です。戦乱の世の中において、国の存亡を決めかねない外交文章です。孔子が弟子たちに、外交文章を的確に作る方法を話していると考えていいでしょう。
ポイントは優秀な四人がそれぞれ分担して作成している点と、実際に使者として赴いている子羽の意見を反映させている点にあると思います。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四08< | >憲問第十四10


【原文・白文】
 子曰、為命、裨諶草創之、世叔討論之、行人子羽修飾之、東里子産潤色之。
<子曰、爲命、裨諶草創之、世叔討論之、行人子羽脩飾之、東里子產潤色之。>

(子曰わく、命を為るに、裨諶之を草創し、世叔之を討論し、行人子羽之を修飾し、東里の子産之を潤色す。)
【読み下し文】
 子(し)曰(のたま)わく、命(めい)を為(つく)るに、裨諶(ひじん)之(これ)を草創(そうそう)し、世叔(せいしゅく)之(これ)を討論(とうろん)し、行人(こうじん)子羽(しう)之(これ)を修飾(しゅうしょく)し、東里(とうり)の子産(しさん)之(これ)を潤色(じゅんしょく)す。


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憲問第十四08< | >憲問第十四10


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