論語、素読会

臧文仲は、其の位を窃む者か|「論語」衛霊公第十五14

孔先生がおっしゃった、魯の大夫・臧文仲は官位を盗む人であろうか。魯の大夫・柳下恵が才能と徳を持った賢者であると知りながら、一緒に政事に携わらなかった。(一緒に官職の地位に立たせなかった。)|「論語」衛霊公第十五14

【現代に活かす論語】
能力があり、人徳を備えた人物と知りながら、その人物を引き立てない。この上司は手柄や役職を独占する人だろうか。

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00:00 章句の検討

06:10「衛霊公第十五」前半01 – 22 素読
2024.4.12収録

【解釈】

臧文仲(ぞうぶんちゅう) … 魯(ろ)の大夫。姓は臧孫(ぞうそん)、名は辰(しん)、は仲(ちゅう)、贈り名は文(ぶん)。荘公(そうこう)、閔公(びんこう)、僖公(きこう)、文公(ぶんこう)の四代にわたって魯の大夫でした。

柳下恵(りゅうかけい) … 魯(ろ)の大夫。姓は展(てん)、名は獲(かく)、字は禽(きん)。恵(けい)は贈り名。柳下は、号とも封ぜられた土地の称とも言い、未詳。賢者で知られる。

子曰わく、臧文仲は、其の位を窃む者か。柳下恵の賢を知りて、与に立たざるなり。|「論語」衛霊公第十五14
子曰、臧文仲、其窃位者与。知柳下恵之賢、而不与立也。

「窃」(ぬすむ)は不当にある地位を占めたり評価を得たりする。「位」(くらい)は官位、爵位。「賢」(けん)は才能と徳をもった人。「与」(ともに)はいっしょに何かをしたり動作が関係する対象を表す。「立」(たてる)は即位させる、地位につける。

孔先生がおっしゃった、魯の大夫・臧文仲は官位を独占しようとする者であろうか。魯の大夫・柳下恵が才能と徳を持った賢者であると知りながら、一緒に政事に携わらなかった。(一緒に官職の地位に立たせなかった。)

【解説】

荘公(そうこう)、閔公(びんこう)、僖公(きこう)、文公(ぶんこう)の四代にわたって魯の大夫を勤めた臧文仲が、柳下恵の能力を知りながら彼を推挙しない。孔子が下した臧文仲の評価は、「位を窃む者ではないか。」というものでした。衛の大夫・公叔文子を評価するこちらの章句とは真逆の事例と言っていいでしょう。「衛の大夫・公叔文子の家臣、大夫の僎がいた。公叔文子は彼を(自分と)同じ地位に上げるよう主君に推薦した。孔先生はこの話を聞いておっしゃった、「文」という贈り名を贈られるに相応しい。|「論語」憲問第十四19
本章句は、論語が孔子の教えを学ぶテキストであることを我々に気付かせます。「柳下恵の能力を知りながら、彼と共に政事に携わらなかった臧文仲は官位を盗む者である。」とせずに、臧文仲は官位を盗む者(官位を独占しようとする者)であるか?と、まず、聞き手と課題を共有しています。そして身近にいる能力を持つ人物を用いらないこと、ここに私心はないか?自分の職務を正しく理解しているか?という問いかけがあります。この章句から議論が展開し、「徳」とはなんであるかという学びに繋げていくのが孔子の教えでありそのテキストである「論語」だと思います。


「論語」参考文献|論語、素読会
衛霊公第十五13< | >衛霊公第十五15


【原文・白文】
 子曰、臧文仲、其窃位者与。知柳下恵之賢、而不与立也。
<子曰、臧文仲、其竊位者與。知柳下惠之賢、而不與立也。>

(子曰わく、臧文仲は、其の位を窃む者か。柳下恵の賢を知りて、与に立たざるなり。)
【読み下し文】
 子(し)曰(のたま)わく、臧文仲(ぞうぶんちゅう)は、其(そ)の位(くらい)を窃(ぬす)む者(もの)か。柳下恵(りゅうかけい)の賢(けん)を知(し)りて、与(とも)に立(た)たざるなり。


「論語」参考文献|論語、素読会
衛霊公第十五13< | >衛霊公第十五15


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