論語、素読会

以て文と為すべし|「論語」憲問第十四19

衛の大夫・公叔文子の家臣、大夫の僎がいた。公叔文子は彼を(自分と)同じ地位に上げるよう主君に推薦した。孔先生はこの話を聞いておっしゃった、「文」という贈り名を贈られるに相応しい。|「論語」憲問第十四19

【現代に活かす論語】
優秀な部下であれば自分と同じ処遇に引き上げる、これこそ最上の賛辞に値する。

『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討

05:35「憲問第十四」前半01 – 21 素読
2023.12.14収録

【解釈】

公叔文子(こうしゅくぶんし) … 文は贈り名。衛の大夫。「論語」の登場人物|論語、素読会

僎(せん) … 衛(えい)の大夫。公叔文子の臣。「論語」の登場人物|論語、素読会

公叔文子の臣大夫僎、文子と同じく諸を公に升す。子之を聞きて曰わく、以て文と為すべし。|「論語」憲問第十四19
公叔文子之臣大夫僎、与文子同升諸公。子聞之曰、可以為文矣。

「公」(こう)は主君。「升」(のぼる)は官職や地位があがる。「諸」(これ)はかれ。

衛の大夫・公叔文子の家臣、大夫の僎がいた。公叔文子は彼を(自分と)同じ地位に上げるよう主君に推薦した。孔先生はこの話を聞いておっしゃった、「文」という贈り名を贈られるに相応しい。

【解説】

「文」という贈り名については、子貢が孔子に尋ねている章句を参照するといいでしょう。「子貢問うて曰わく、孔文子は何を以て之を文と謂うや。子曰わく、敏にして学を好み、下問を恥じず、是を以て之を文と謂うなり。|「論語」公冶長第五15」公叔文子同様、「文」を贈られた理由を孔子はこう語ります。「生まれつき利発ながら学問に熱心で、目下の者にも教えを請うことを恥と思わなかった。」と。
公叔文子は優秀な家臣を自分と同じ処遇に推薦しています。このような上下関係にとらわれず目的達成のために素早く行動する姿を、孔子は「文」という贈り名に相応しいと考えています。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四18< | >憲問第十四20


【原文・白文】
 公叔文子之臣大夫僎、与文子同升諸公。子聞之曰、可以為文矣。
<公叔文子之臣大夫僎、與文子同升諸公。子聞之曰、可以爲文矣。>

(公叔文子の臣大夫僎、文子と同じく諸を公に升す。子之を聞きて曰わく、以て文と為すべし。)
【読み下し文】
 公叔文子(こうしゅくぶんし)の臣(しん)大夫(たいふ)僎(えい)、文子(ぶんし)と同(おな)じく諸(これ)を公(こう)に升(のぼ)す。子(し)之(これ)を聞(き)きて曰(のたま)わく、以(もっ)て文(ぶん)と為(な)すべし。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四18< | >憲問第十四20


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