論語、素読会

爾の知る所を挙げよ|「論語」子路第十三02

仲弓が季氏の長官となって、〔孔子に)政治について尋ねた。孔先生がおっしゃった、(部下である)役人を先に立てて仕事を任せ、(彼らの)小さな過ちを許す器量を持ち、才能に優れた人物を採用せよ、と。(仲弓は続けて)尋ねた。どのようにして才能に優れた人物を知り採用すればよろしいでしょうか。(孔先生が)おっしゃった、まず、お前の知っている人物を採用しなさい。お前の知らない人物は他の人が捨てておかないよ。(知らせてくれるよ。)|「論語」子路第十三02

【現代に活かす論語】
上司として、部下を立てて仕事を任せ、小さな過ちを許す器量を持ち、優れた人材を採用しなさい。
人材がいないと嘆くのではなく、まず、身近な人に目を向け採用すれば、周りが新しい人物を推薦してくれるでしょう。

『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討

06:05「子路第十三」前半01 – 15 素読
2023.07.21収録

【解釈】

仲弓(ちゅうきゅう) … 「雍」(よう)。姓は冉(ぜん)、名は雍(よう)、字は仲弓(ちゅうきゅう)。孔子より二十九歳若い門人。「論語」の登場人物|論語、素読会

季氏(きし) … 季孫氏(きそんし)。魯の大夫、三桓(孟孫氏、叔孫氏、季孫氏)のひとつ。魯の襄公のころから大臣職を独占し、襄公を無視して権力を欲しいままにした。「論語」の登場人物|論語、素読会

仲弓季氏の宰と為りて、政を問う。子曰わく、有司を先にし、小過を赦し、賢才を挙げよ。曰わく、焉んぞ賢才を知りて之を挙げん。曰わく、爾の知る所を挙げよ。爾の知らざる所、人其れ諸を舍てんや。|「論語」子路第十三02
仲弓為季氏宰、問政。子曰、先有司、赦小過、挙賢才。曰、焉知賢才而挙之。曰、挙爾所知。爾所不知、人其舍諸。

「宰」(さい)は政教をつかさどる官吏。「有司」(ゆうし)は官吏、役人。「小過」(しょうか)は小さい過ち、小失。「賢才」(けんじん)は人徳と才能に優れた人。「焉」(いずくんぞ)はどのように…か。「舍」(すてる)は放棄する。

仲弓が季氏の長官となって、〔孔子に)政治について尋ねた。孔先生がおっしゃった、(部下である)役人を先に立てて仕事を任せ、(彼らの)小さな過ちを許す器量を持ち、才能に優れた人物を採用せよ、と。(仲弓は続けて)尋ねた。どのようにして才能に優れた人物を知り採用すればよろしいでしょうか。(孔先生が)おっしゃった、まず、お前の知っている人物を採用しなさい。お前の知らない人物は他の人が捨てておかないよ。(知らせてくれるよ。)

【解説】

人材がいない(足りない)とを嘆くのではなく、まず身近の人物を挙げていきなさいという孔子のアドバイスです。自分の身の回りしか見ていない仲弓に気づきを与えています。人材登用に関わらず、広い視野を必要とするのが政治ということだと思います。


「論語」参考文献|論語、素読会
子路第十三01< | >子路第十三03


【原文・白文】
 仲弓為季氏宰、問政。子曰、先有司、赦小過、挙賢才。曰、焉知賢才而挙之。曰、挙爾所知。爾所不知、人其舍諸。
<仲弓爲季氏宰、問政。子曰、先有司、赦小過、舉賢才。曰、焉知賢才而舉之。曰、舉爾所知。爾所不知、人其舍諸。>

(仲弓季氏の宰と為りて、政を問う。子曰わく、有司を先にし、小過を赦し、賢才を挙げよ。曰わく、焉んぞ賢才を知りて之を挙げん。曰わく、爾の知る所を挙げよ。爾の知らざる所、人其れ諸を舍てんや。)
【読み下し文】
 仲弓(ちゅうきゅう)季氏(きし)の宰(さい)と為(な)りて、政(まつりごと)を問(と)う。子(し)曰(のたま)わく、有司(ゆうし)を先(さき)にし、小過(しょうか)を赦(ゆる)し、賢才〔けんさい)を挙(あげ)よ。曰(い)わく、焉(いずく)んぞ賢才(けんさい)を知(し)りて之(これ)を挙(あ)げん。曰(のたま)わく、爾(なんじ)の知(し)る所(ところ)を挙(あ)げよ。爾(なんじ)の知(し)らざる所(ところ)、人(ひと)其(そ)れ諸(これ)を舍(す)てんや。


「論語」参考文献|論語、素読会
子路第十三01< | >子路第十三03


※Kindle版