論語、素読会

故に夫の三桓の子孫は微なり|「論語」季氏第十六03

孔先生がおっしゃった、俸禄を与えることが魯の公室によって行われなくなって五代である。政治が大夫に及んでから四代である。したがって、あの三桓の子孫は衰えているのである。|「論語」季氏第十六03

【現代に活かす論語】
組織の長が自分の権限を行使せず、組織の役員が実権を握るようになり、そのまま時代が経過すると、その後その役員たちはその機能しない組織のために信頼や威厳を失っていく。

【解釈】

三桓(さんかん) … 三家者(さんかしゃ)。魯の大夫、孟孫氏・叔孫氏・季孫氏の三氏の家。「論語」の登場人物|論語、素読会

孔子曰わく、禄の公室を去ること五世なり。政の大夫に逮ぶこと四世なり。故に夫の三桓の子孫は微なり。|「論語」季氏第十六03
孔子曰、禄之去公室五世矣。政逮於大夫四世矣。故夫三桓之子孫微矣。

「禄」(ろく)は官吏の俸給。「公室」(こうしつ)は魯公のこと。「去」(さる)は失う、そこなう。「世」(せい)は父から子へ後を継ぐまでの期間、一代。「大夫」(たいふ)は官吏の身分の一つ、中央の要職や顧問など重要な地位をしめる場合が多い。「逮」(およぶ)はおいつく、及ぶ。「微」(び)はきわめて小さい、ささやかなさま。

孔先生がおっしゃった、俸禄を与えることが魯の公室によって行われなくなって五代である。政治が大夫に及んでから四代である。したがって、あの三桓の子孫は衰えているのである。

【解説】

ひとつ前の章句をまず参照してください。前の章句が孔子が考える政治に対する指摘であるのに対して、この章句は魯の国の現状を語っています。孔子が生きた当時の魯の国は、三桓と呼ばれる大夫が実権を握って悪政を行っていました。代々魯の国の要職を担ってきた三桓ですが、その信頼度や威厳を失っている、衰退するのは当然であると孔子は話しているのです。


「論語」参考文献|論語、素読会
季氏第十六02< | >季氏第十六04


【原文・白文】
 孔子曰、禄之去公室五世矣。政逮於大夫四世矣。故夫三桓之子孫微矣。
<孔子曰、祿之去公室五世矣。政逮於大夫四世矣。故夫三桓之子孫微矣。>

(孔子曰わく、禄の公室を去ること五世なり。政の大夫に逮ぶこと四世なり。故に夫の三桓の子孫は微なり。)
【読み下し文】
 孔子(こうし)曰(のたま)わく、禄(ろく)の公室(こうしつ)を去(さ)ること五世(ごせい)なり。政(まつりごと)の大夫(たいふ)に逮(およ)ぶこと四世(よんせ)なり。故(ゆえ)に夫(か)の三桓(さんかん)の子孫(しそん)は微(び)なり。


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