論語、素読会

子路は諾を宿むること無し|「論語」顔淵第十二12

孔先生がおっしゃった、短く効果的なことばで訴訟事件に判断を下すことができる者は、それは由(子路)であろうか。子路はひきうけたことをひきのばさない。|「論語」顔淵第十二12

【現代に活かす論語】
判断は簡潔にそして時間を掛けずに直ちに。
引き受けたことを引き延ばさない。

『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討

10:20「顔淵第十二」前半01 – 13 素読
2023.05.09収録

【解釈】

子路(しろ)、由(ゆう) … 季路(きろ)仲由(ちゅうゆう)。姓は仲(ちゅう)、名は由(ゆう)、字は子路(しろ)・季路(きろ)。孔子より九歳若く孔子門人の中で最年長。「論語」の登場人物|論語、素読会

子曰わく、片言以て獄を折むべき者は、其れ由なるか。子路は諾を宿むること無し。|「論語」顔淵第十二12
子曰、片言可以折獄者、其由也与。子路無宿諾。

「片言」(へんげん)は短く効果的なことば。「折」(さだむ)は判断を下す。「獄」(うったえ)は訴訟事件。「宿」(とどむ)は据えおく、ひきのばす。「諾」(だく)はひきうける、承認する。

孔先生がおっしゃった、短く効果的なことばで訴訟事件に判断を下すことができる者は、それは由(子路)であろうか。子路はひきうけたことをひきのばさない。

【解説】

「論語」は孔子の教えを伝えるためのテキストだと感じています。取り上げる章句の内容とその順序に編集者が伝えたいことが色濃く反映されていると感じる箇所があるのです。
「顔淵第十二」篇においてこの章句が持つ意味を考えると、「仁」「君子」を孔子に尋ねたのち、テーマが「政」に移ったところで、この章句が登場します。子路の人物評というより、子路という人物を利用して、判断をひきのばさないことの重要性を伝えたかったのではないでしょうか。ここまでの章句を通じて、子路が優秀であるが故の前のめりな性格であること「由は人より優れているので、控えさせるようにしたのだよ聞くままに斯れ諸を行わんか|「論語」先進第十一21)」が著されています。子路に対して厳しいながらも情愛に溢れた孔子のことばで伝えることで、より印象的にし、効果を高めているように感じます。


「論語」参考文献|論語、素読会
顔淵第十二11< | >顔淵第十二13


【原文・白文】
 子曰、片言可以折獄者、其由也与。子路無宿諾。
<子曰、片言可以折獄者、其由也與。子路無宿諾。>

(子曰わく、片言以て獄を折むべき者は、其れ由なるか。子路は諾を宿むること無し。)
【読み下し文】
 子(し)曰(のたま)わく、片言(へんげん)以(もっ)て獄(うったえ)を折(さだ)むべき者(もの)は、其(そ)れ由(ゆう)なるか。子路(しろ)は諾(だく)を宿(とど)むること無(な)し。


「論語」参考文献|論語、素読会
顔淵第十二11< | >顔淵第十二13


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