論語、素読会

君子は思うこと其の位を出でず|「論語」憲問第十四28

曽子が言う、人の上に立つ立派な人(君子)が考えめぐらすときは、自分の職務の範囲を出ないと。|「論語」憲問第十四28

【現代に活かす論語】
自分の仕事のことに考えを集中せよ。

『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討

03:25「憲問第十四」後半22 – 46 素読
2024.1.12収録

【解釈】

曽子(そうし) … 姓は曾、名は参(しん)、字は子輿(しよ)。孔子より四十六歳若い。孔子の教えを伝えた第一人者と言われています。

曽子曰わく、君子は思うこと其の位を出でず。|「論語」憲問第十四28
曽子曰、君子思不出其位。

「君子」(くんし)は人の上に立つ立派な人。「思」(おもう)は考えめぐらす。「其」(その)は自分。「位」(くらい)は職務上の地位。

曽子が言う、人の上に立つ立派な人(君子)が考えめぐらすときは、自分の職務の範囲を出ないと。

【解説】

この章句を含めて前後の三章句では、分をわきまえる、自分の行い以上に言葉が過ぎないようにするということが伝えられています。その中にあって、この考えめぐらすことが自分の職務上の立場を出ないということはどういうことでしょうか。
ひとつには、自分の職務に関して考えることは山ほどあるので、それ以外の余計なことを考える暇はないという解釈です。まず自分の職務を大事にせよということではないでしょうか。
また、簡公を殺した陳成子のよう(憲問第十四22)に道に外れるような考えを持たないという解釈もできるかもしれません。ただ、この章句では、「孔子曰わく、吾大夫の後に従えるを以て、敢て告げずんばあらざるなり。|「論語」憲問第十四22」と言って、職務上の立場を超えて言わざるを得なかったといっているので、主語が「曽子」であることによって、この矛盾を解消しているようにも思えるのです。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四27< | >憲問第十四29


【原文・白文】
 曽子曰、君子思不出其位。
<曾子曰、君子思不出其位。>

(曽子曰わく、君子は思うこと其の位を出でず。)
【読み下し文】
 曽子(そうし)曰(い)わく、君子(くんし)は思(おも)うこと其(そ)の位(くらい)を出(い)でず。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四27< | >憲問第十四29


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