子貢が「仁」私心なくひとを思いやる心を実践することについて尋ねた。孔先生がおっしゃった、職人はその仕事を善くしようと望めば、必ずまずその道具を磨いて切れ味をよくする。この国においては(政事を善くしようと望めば)、その国の大夫で賢い者に仕え、その役人の中の「仁」私心なくひとを思いやる心を持つ者を友人とするとよいと。|「論語」衛霊公第十五10
【現代に活かす論語】
思いやりの心を実践するには何が必要ですか? 正しい事を行う先輩に習って、私心なくひとを思いやる心を持つ人たちを友人にして研鑽を積むといいでしょう。
『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討
07:50「衛霊公第十五」前半01 – 22 素読
2024.3.5収録
【解釈】
子貢(しこう) … 姓は端木(たんぼく)、名は賜(し)、字は子貢(しこう)。孔子より三十一歳若い。「論語」の中で孔子との問答がもっとも多い。
子貢仁を為さんことを問う。子曰わく、工其の事を善くせんと欲すれば、必ず先ず其の器を利くす。是の邦に居りては、其の大夫の賢なる者に事え、其の士の仁なる者を友とす。|「論語」衛霊公第十五10
子貢問為仁。子曰、工欲善其事、必先利其器。居是邦也、事其大夫之賢者、友其士之仁者。
「仁」(じん)は論語で大切にしている心、私心なくひとを思いやる心。「為」(なす)は物事を実行する。「工」(こう)は職人、たくみ。「利」(するどい)は切れ味のよいさま。「器」(うつわ)は用具。「邦」(くに)は元来、「国」は、一定の地域の意、せいぜい派生しても都城までの意で、国家の意は「邦」が表していた。「士」(し)は役人。
子貢が「仁」私心なくひとを思いやる心を実践することについて尋ねた。孔先生がおっしゃった、職人はその仕事を善くしようと望めば、必ずまずその道具を磨いて切れ味をよくする。この国においては(政事を善くしようと望めば)、その国の大夫で賢い者に仕え、その役人の中の「仁」私心なくひとを思いやる心を持つ者を友人とするとよいと。
【解説】
「仁」を実践するための準備について孔子が話しています。職人にとって道具を磨くことは、政事を志す者にとっては、正しい先輩に仕えて、善い友だちと研鑽することだといいます。「曽子曰わく、君子は文を以て友を会し、友を以て仁を輔く。|「論語」顔淵第十二24」曽子も友だちとの付き合いを通じて「仁」を高める助けとすると語ります。それほど大切な存在である友。であるがゆえに、「朋遠方より来たる有り、亦た楽しからずや|「論語」学而第一01」と論語の一番最初の章句にあるのです。
「論語」参考文献|論語、素読会
衛霊公第十五09< | >衛霊公第十五11
【原文・白文】
子貢問為仁。子曰、工欲善其事、必先利其器。居是邦也、事其大夫之賢者、友其士之仁者。
<子貢問爲仁。子曰、工欲善其事、必先利其器。居是邦也、事其大夫之賢者、友其士之仁者。>
(子貢仁を為さんことを問う。子曰わく、工其の事を善くせんと欲すれば、必ず先ず其の器を利くす。是の邦に居りては、其の大夫の賢なる者に事え、其の士の仁なる者を友とす。)
【読み下し文】
子貢(しこう)仁(じん)を為(な)さんことを問(と)う。子(し)曰(のたま)わく、工(こう)其(そ)の事(こと)を善(よ)くせんと欲(ほっ)すれば、必(かなら)ず先(ま)ず其(そ)の器(うつわ)を利(するど)くす。是(そ)の邦(くに)に居(お)りては、其(そ)の大夫(たいふ)の賢(けん)なる者(もの)に事(つか)え、其(そ)の士(し)の仁(じん)なる者(もの)を友(とも)とす。
「論語」参考文献|論語、素読会
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