論語、素読会

左丘明之を恥ず、丘も亦之を恥ず|「論語」公冶長第五25

【原文】
 子曰、巧言令色足恭、左丘明恥之、丘亦恥之。匿怨而友其人、左丘明恥之、丘亦恥之。

(子曰わく、巧言令色足恭なるは、左丘明之を恥ず、丘も亦之を恥ず。怨を匿して其の人を友とするは、左丘明之を恥ず、丘も亦之を恥ず。)
【読み下し文】
 曰(のたま)わく、巧言令色(こうげんれいしょく)足恭(すうきょう)なるは、左丘明(さきゅうめい)之(これ)を恥(は)ず、丘(きゅう)も亦(また)之(これ)を恥(は)ず。怨(うらみ)を匿(かく)して其(そ)の人(ひと)を友(とも)とするは、左丘明(さきゅうめい)之(これ)を恥(は)ず、丘(きゅう)も亦(また)之(これ)を恥(は)ず。

『論語、素読会』
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00:00 章句の検討
11:20 「公冶長第五」後半16-28 素読
2021.8.12収録


左丘明(さきゅうめい) … 姓は左丘、名は明。孔子の先輩で、孔子の尊敬する人だったらしい。

丘(きゅう) … 孔子自身。姓は孔、名は丘、字は仲尼(ちゅうじ)。仲は次男のこと。

【解釈】

子曰、巧言令色足恭、左丘明恥之、丘亦恥之。匿怨而友其人、左丘明恥之、丘亦恥之。

「巧言令色」(こうげんれいしょく)はことば巧みでいい顔ばかりする様子。「足」(すう)は過分に度を超えの意。「恭」(きょう)はつつしみ深くへりくだった様子。「匿」(かくす)は心に深く隠すこと。
孔先生がおっしゃった、ことば巧みでいい顔ばかりして、あまりにもへりくだった態度、左丘明はこれを恥じた。孔子自身もまたこれを恥じた。怨みを心の中深くに隠してその人を友だちとうわべだけの友だち付き合いをすること、左丘明はこれを恥じた。孔子もまたこれを恥じた。


【解説】

「巧言令色」は、巧言令色鮮なし仁|「論語」学而第一03でも用いられる象徴的な人間の様子です。いいことばかり言って顔色をうかがうような人付き合いを、孔子はよしとしませんでした。左丘明という先輩もこれを恥じていたというので、この先輩とは意見が合ったのでしょう。
また、怨みを隠してうわべの友だち付き合いをすることも恥だといっている点も興味深いです。怨みを隠して付き合うとはどういうことでしょう。
例えば、舊悪を念わず。怨是を用て希なり|「論語」公冶長第五23この章句では罪を憎んでひとを悪まずと言っています。ということはそもそもひとを憎むということを否定しているので、相手を憎んでいる時点、憎んで付き合っている時点で、孔子としてはいかがなものか?自分自身であれば恥ということになるのです。


「論語」参考文献|論語、素読会
公冶長第五24< | >公冶長第五26


【現代に活かす論語】
口先ばかりでいい顔ばかりして人の機嫌を伺いすぎる行為は恥ずべきである。その人を怨んだまま友だち付き合いをしてはいけない。