孔先生がおっしゃった、処罰などによらず徳によって国を治めた王といえば、それは舜王だろうか。では舜王が何をしたのか。自分自身をつつしみ深くへりくだり、正しく王位に座していただけだ。|「論語」衛霊公第十五05
【現代に活かす論語】
徳によって組織を治めるには、つつしみ深くへりくだり、正しくリーダーの位置に座ることだ。
『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討
07:45「衛霊公第十五」前半01 – 22 素読
2024.2.21収録
【解釈】
堯・舜・禹(ぎょう・しゅん・う) … 伝説上の天子、帝王。舜は尭から禅譲[帝王がその位を世襲せず、有徳者に譲ること]した。禹は舜に推されて王となり、夏王朝を開いたとされる。
子曰わく、無為にして治むる者は、其れ舜なるか。夫れ何をか為すや。己を恭しくして正しく南面するのみ。|「論語」衛霊公第十五05
子曰、無為而治者、其舜也与。夫何為哉。恭己正南面而已矣。
「無為」(むい)は儒家で刑罰などによらず、徳によって民を感化する主張。「恭」(うやうやしい)はつつしみ深くへりくだったさま。「南面」(なんめん)は天子や王の位につく。王座は南向きであったことから。
孔先生がおっしゃった、処罰などによらず徳によって国を治めた王といえば、それは舜王だろうか。では舜王が何をしたのか。自分自身をつつしみ深くへりくだり、正しく王位に座していただけだ。
【解説】
「無為」を徳政(徳によって政事を行うこと)と解釈しました。君主が何もしないのではなく、恭しくして正しく存在することがその条件であることが、伝説の天子、舜の姿を通して伝わるからです。徳政について孔子は次のように考えています。「魯の君主、哀公が尋ねた。どうすれば人民が従ってくれるのだろう。孔先生がこれに応えておっしゃった、正しい人を登用して、不正を行う人の上に配置すれば、人民は従うでしょう。|「論語」為政第二19」このことからも、「無為にして治むる」は徳政で治めると解釈します。
「論語」参考文献|論語、素読会
衛霊公第十五04< | >衛霊公第十五06
【原文・白文】
子曰、無為而治者、其舜也与。夫何為哉。恭己正南面而已矣。
<子曰、無爲而治者、其舜也與。夫何爲哉。恭己正南面而已矣。>
(子曰わく、無為にして治むる者は、其れ舜なるか。夫れ何をか為すや。己を恭しくして正しく南面するのみ。)
【読み下し文】
子(し)曰(のたま)わく、無為(むい)にして治(おさ)むる者(もの)は、其(そ)れ舜(しゅん)なるか。夫(そ)れ何(なに)をか為(な)すや。己(おのれ)を恭(うやうや)しくして正(ただ)しく南面(なんめん)するのみ。
「論語」参考文献|論語、素読会
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