中国古典が日本人の人格形成に果たして来た役割を知ると、自分の子どもの人格形成に役立てられないかと考えるようになりました。しかし、論語を教えるといっても、小学校入学前後の子どもには、少々ハードルが高いのも事実です。
そこで、かつて寺子屋で教えていたという「素読」という学習方法に注目して、家庭内で実践することにしました。
子どもの興味をひくテキストづくり
「楽しい」「やりたい」という気持ちにさせるための雰囲気作りを考えました。
何でもスタートは親が与えるところから始まります。論語の意味を口頭で伝えて、子どもが「ふむふむなるほど」となるにはどうするか。
安岡定子先生はご自身の素読会で、「これって、どう思う?」と論語の章句について常に子どもに尋ねているそうです。
そこで、絵を描くのが得意な子どもに、絵で表現させてみました。絵を描けばその時思った章句の内容を思い出すと思ったのです。
徳性の説明
第一に説明したのは、五常「仁・義・礼・智・信」、この代表的な徳性の説明です。
後に思うのですが、この徳性の説明は特に最初は要らないように思います。章句に直接親しんでしまう方が、子どもには取り組みやすいようです。
子どもは次のように表現しました。
「仁」… ままいつもおべんとうつくってくれてありがとう
「義」… プレゼント、贈り物
「礼」… リボン
「智」… 絵本を読んでいる
「信」… 指切り
長い章句は3つに分ける
次に、小論語と呼ばれる学而第一の章句です。
子どもにとって繰り返しの「学び」は鉄棒やブランコなどの運動でした。
「朋」は、九州に住み、この半年前に訪ねてきてくれた知人の同い年のお友だち。
そして、「ほめられる」という行為は、母親とのプレゼントのやり取りのようです。
「巧言令色、鮮なし仁」
一番最初に教えたかったのが、実はこの章句。そもそも一番最初に「素読」について質問をした守屋洋先生が、子どもにはリズムが受けるだろうとおっしゃったのがこの章句でした。
目覚ましで起きられるように。その様子を絵で表現しました。
テレビを見続けている父親に、「巧言令色、鮮なし仁」
そして、ついにその日がやってきました。
子どもの就寝時刻にテレビを見ていた私に、「パパ早く寝てね」と子どもがひと言。
「はーい」と返事をしてもテレビを消さない私に、「巧言令色、鮮なし仁」とうれしそうにいう子ども。
「やられた!」といってテレビを消して、うれしい気持ちで眠りについたのです。