論語、素読会

夫の人は言わず、言えば必ず中ること有り|「論語」先進第十一13

魯の人が長府という建物を作った。閔子騫は言った、昔からのしきたりに基づいたなら、どうであろうか。どうして作り直す必要があるだろうか、と。(それを聞いた)孔先生がおっしゃった、彼(閔子騫)は無口だが、ひと言言えば必ず道理にあっているね。|「論語」先進第十一13

【現代に活かす論語】
しきたりに反して建物などを作り直すのはどうだろうか。

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00:00 章句の検討

04:10「先進第十一」前半1 – 16 素読
2023.02.13収録

【解釈】

閔子騫(びんしけん) … 姓は閔、名は損(そん)、字は子騫。孔子より15歳若い。 「論語」の登場人物|論語、素読会

魯人長府を為る。閔子騫曰わく、旧貫に仍らば、之を如何。何ぞ必ずしも改め作らん。子曰わく、夫の人は言わず、言えば必ず中ること有り。|「論語」先進第十一13
魯人為長府。閔子騫曰、仍旧貫、如之何。何必改作。子曰、夫人不言、言必有中。

「魯」(ろ)は周代の諸侯の国、孔子の生国。「人」(ひと)はある種の職能をもつ特定の人。旧貫(きゅうかん)はもともとの様子。「仍」(よる)はよりどころとする、踏襲する、基づく。「如何」(いかん)はどのようであろうか。「何」(なんぞ)はどうして。

魯の人が長府という建物を作った。閔子騫は言った、昔からのしきたりに基づいたなら、どうであろうか。どうして作り直す必要があるだろうか、と。(それを聞いた)孔先生がおっしゃった、彼(閔子騫)は無口だが、ひと言言えば必ず道理にあっているね。

【解説】

「魯人」(ろひと)とは魯の当事者を指しているが、誰なのかは特定していない。「長府」(ちょうふ)は財貨を入れる蔵とも、文書庫とも言われているが、定かではない。
この章句では、当時の魯の国の政治についてわざわざ建物を立て直している点を問題視している。併せて、閔子騫が無口であり発言が的確であることが分かる。


「論語」参考文献|論語、素読会
先進第十一12< | >先進第十一14


【原文・白文】
 魯人為長府。閔子騫曰、仍旧貫、如之何。何必改作。子曰、夫人不言、言必有中。
<魯人爲長府。閔子騫曰、仍舊貫、如之何。何必改作。子曰、夫人不言、言必有中。>

(魯人長府を為る。閔子騫曰わく、旧貫に仍らば、之を如何。何ぞ必ずしも改め作らん。子曰わく、夫の人は言わず、言えば必ず中ること有り。)
【読み下し文】
 魯人(ろひと)長府(ちょうふ)を為(つく)る。閔子騫(びんしけん)曰(い)わく、旧貫(きゅうかん)に仍(よ)らば、之(これ)を如何(いかん)。何(なん)ぞ必(かなら)ずしも改(あらた)め作(つく)らん。子(し)曰(のたま)わく、夫(か)の人(ひと)は言(い)わず、言(い)えば必(かなら)ず中(あた)ること有(あ)り。


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