孔先生がおっしゃった、(自ら進む道を)非常に信じて学ぶことを好み、命を投げ出す覚悟を守り自ら進む道を善くする。危険な国には足を踏み入れず、道理が乱れた国には居ない。天下に道理が有れば世の中に出て任官し、道理がなければ表から隠れる。国に道理が有るのに貧しくて地位が低いのは恥である。国に道理がないのに豊かで身分が高いのは恥である。|「論語」泰伯第八13
【現代に活かす論語】
人の上に立つ立派なリーダーは、生きていく上の道理を信じて学び、覚悟を持って成長していきます。
人の上に立つ立派なリーダーは危険な事業には近寄らず、荒れている事案からは撤退します。
人の上に立つ立派なリーダーは、正しい状況下では進んで才能を発揮し、道理がない状況下では身を引きます。
人の上に立つ立派な人物として、活躍する場があるのに貧しくて地位が低いのは恥である。不条理な状況の中で、私腹を肥やし地位が高いのも恥である。
『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討
12:00 「泰伯第八」後半11-21 素読
2022.2.18収録
【解釈】
子曰わく、篤く信じて学を好み、死を守りて道を善くす。危邦には入らず、乱邦には居らず。天下道有れば則ち見れ、道無ければ則ち隠る。邦道有るに、貧しくして且つ賤しきは恥なり。邦道無きに、富み且つ貴きは恥なり。|「論語」泰伯第八13
子曰、篤信好学、守死善道。危邦不入、乱邦不居。天下有道則見、無道則隠。邦有道、貧且賤焉恥也。邦無道、富且貴焉恥也。
「篤」(あつい)は非常に、たいへん。「死」(し)は命をなげ出す覚悟のあるさま。「道」(みち)は人が生まれながらにして徳性を重ねながら進む道。『道』とは?|論語、素読会 「危邦」(きほう)は乱れる予兆がある危険な国。「乱邦」(らんぽう)は道理が乱れた国。「道」(みち)は道理。『道』とは?|論語、素読会 「見」(あらわれる)は世に出て活動する。仕える。「賤」(いやしい)は地位や身分が低い。「貴」(たっとぶ)は身分が高い。対義語は「賤」。
孔先生がおっしゃった、(自ら進む道を)非常に信じて学ぶことを好み、命を投げ出す覚悟を守り自ら進む道を善くする。危険な国には足を踏み入れず、道理が乱れた国には居ない。天下に道理が有れば世の中に出て任官し、道理がなければ表から隠れる。国に道理が有るのに貧しくて地位が低いのは恥である。国に道理がないのに豊かで身分が高いのは恥である。
【解説】
この章句は「道」を通じて「君子 −人の上に立つ立派な人−」について語っています。第一の「道」は自ら進んでいく徳性を重ねていく「道」。これを信じて学び、覚悟を持って善くしていくようにという孔子の強く不動のメッセージです。その上で、君子への階段を登っていく上での慎重さ、任官先を選ぶにも道理としての「道」に注視せよという、孔子からの温かいアドバイスを感じます。そして世の中の趨勢に敏感であれということと同時に、慢心を厳しく戒めている。大変有意義な内容だと思います。
また、「恥」についての孔子の考えを知ることができます。孔子の学び舎で孔子および弟子たちの目標である、君子(人の上に立つ立派な人)を目指す者として、正しい政治が行われている世の中において、その社会に貢献して俸禄(給与)を得ること、そのような地位にきちんと自分の居場所を得ることの大切さを伝えます。そして、逆に悪政の中にあって、富や地位に固執すること、利己の精神を批判するのです。「恥」に対する孔子の考えは、こちらの章句でも同様です。「憲恥を問う。子曰わく、邦道有れば穀す。邦道無くして穀するは、恥なり。|「論語」憲問第十四01」
「論語」参考文献|論語、素読会
泰伯第八12< | >泰伯第八14
【原文・白文】
子曰、篤信好学、守死善道。危邦不入、乱邦不居。天下有道則見、無道則隠。邦有道、貧且賤焉恥也。邦無道、富且貴焉恥也。
<子曰、篤信好學、守死善道。危邦不入、亂邦不居。天下有道則見、無道則隱。邦有道、貧且賤焉恥也。邦無道、富且貴焉恥也。>
(子曰わく、篤く信じて学を好み、死を守りて道を善くす。危邦には入らず、乱邦には居らず。天下道有れば則ち見れ、道無ければ則ち隠る。邦道有るに、貧しくして且つ賤しきは恥なり。邦道無きに、富み且つ貴きは恥なり。)
【読み下し文】
子(し)曰(のたま)わく、篤(あつ)く信(しん)じて学(がく)を好(この)み、死(し)を守(まも)りて道(みち)を善(よ)くす。危邦(きほう)には入(い)らず、乱邦(らんぽう)には居(お)らず。天下(てんか)道(みち)有(あ)れば則(すな)ち見(あらわ)れ、道(みち)無(な)ければ則(すなわ)ち隠(かく)る。邦(くに)道(みち)有(あ)るに、貧(まず)しくして且(か)つ賤(いや)しきは恥(はじ)なり。邦(くに)道(みち)無(な)きに、富(と)み且(か)つ貴(たっと)きは恥(はじ)なり。
「論語」参考文献|論語、素読会
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