論語、素読会

昔者吾が友、嘗て斯に従事せり|「論語」泰伯第八05

【原文】
 曾子曰、以能問於不能、以多問於寡、有若無、実若虚、犯而不校。昔者吾友、嘗従事於斯矣。
<曾子曰、以能問於不能、以多問於寡、有若無、實若虚、犯而不校。昔者吾友、嘗從事於斯矣。>

(曾子曰わく、能を以て不能に問い、多を以て寡に問い、有れども無きが若く、実つれども虚しきが若く、犯されて校いず。昔者吾が友、嘗て斯に従事せり。)
【読み下し文】
 曾子(そうし)曰(い)わく、能(のう)を以(もっ)て不能(ふのう)に問(と)い、多(おおき)を以(もっ)て寡(すくなき)に問(と)い、有(あ)れども無(な)きが若(ごと)く、実(み)つれども虚(むな)しきが若(ごと)く、犯(おか)されて校(むく)いず。昔者(むかし)吾(わ)が友(とも)、嘗(かつ)て斯(ここ)に従事(じゅうじ)せり。
※不校は、校(むく)いずとも、校(こう)せずとも読み下す。


曾子(そうし) … 姓は曾、名は参(しん)、字は子輿(しよ)。孔子より46歳若い。孔子の教えを伝えた第一人者と言われています。

【解釈】

曾子曰、以能問於不能、以多問於寡、有若無、実若虚、犯而不校。昔者吾友、嘗従事於斯矣。

「能」(のう)は能力のあるさま、有能な。「校」(むくいる)は報復する。「昔者」(むかし)と読む。「嘗」(かつて)はこれまでに。
曾子が言った、能力を持ちながらまだ能力を持っていない人に問い、知識が多いのに知識が少ないひとに問い、道理が有っても無いように振る舞い、充実していても虚無であるかのように感じ、犯されても報復しない。むかし我が友が、これまでにこれを実行した。


【解説】

文献では、「吾友」とは顔回のことを指しているといいます。孔子より30歳若かった顔回は曾子とは16歳差であることを考慮したとしても、孔子の門人でこの章句の内容にあてはまる人物は、顔回くらいであろうということのようです。


「論語」参考文献|論語、素読会
泰伯第八04< | >泰伯第八06


【現代に活かす論語】
人の上に立つ立派な人(リーダー)は、能力を持っていてもまだ能力不足な人にも意見を聞き、知識が充分でも知識不足の人の意見に耳を貸す、ものの道理を分かっていてもそれをひけらかさず、充実していてもそれに満足せず、攻撃されてもやり返さない。