論語、素読会

其の徳を称するなり|「論語」憲問第十四35

孔先生がおっしゃった、千里を走る名馬はその力を賞賛するのではなく、その性質の良さをほめるのだ。|「論語」憲問第十四35

【現代に活かす論語】
能力や結果ではなく、そこに至る行いを褒めるべきです。

『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討

06:15「憲問第十四」後半22 – 46 素読
2024.1.22収録

【解釈】

子曰わく、驥は其の力を称せず、其の徳を称するなり。|「論語」憲問第十四35
子曰、驥不称其力、称其徳也。

「驥」(き)は千里を走る馬。「称」(しょうす)は賞賛する。「徳」は生まれながらにしてひとが積み重ねていく善い行い、そしてそれを行う能力。『徳』とは?|論語、素読会 

孔先生がおっしゃった、千里を走る名馬はその力を賞賛するのではなく、その性質の良さをほめるのだ。

【解説】

千里を走る馬とは大変能力が高い馬です。馬は走ることに長けていてこそ評価されるべきだと単純に考えがちですが、孔子は馬の徳こそ評価すべき点であるというのです。馬にとっての徳とはどういうことか。文献では素直に練習することを徳と解釈しています。なるほど、馬にも性質・性格があって、それによって元々持っている能力をさらに伸ばす馬もいるということです。私を含め、馬に論語が当てはまるのか?と思った方、まさにその先入観こそ孔子が指摘していることです。
ある役職で必要とされる能力が備わっていればそれは評価に値する。求められる実績を成し遂げた能力こそ評価する。こういった当たり前と捉えていることより、そのひとの徳性やそれを高めるための日々の努力などを評価し賞賛することが、実は大切なのだと。
この章句は現代のマネージメントにも役立つ大変重要な章句であることに気付きます。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四34< | >憲問第十四36


【原文・白文】
 子曰、驥不称其力、称其徳也。
<子曰、驥不稱其力、稱其德也。>

(子曰わく、驥は其の力を称せず、其の徳を称するなり。)
【読み下し文】
 子(し)曰(のたま)わく、驥(き)は其(そ)の力(ちから)を称(しょう)せず、其(そ)の徳(とく)を称(しょう)するなり。


「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四34< | >憲問第十四36


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