論語、素読会

子の雅に言う所は詩書、執礼皆雅に言うなり|「論語」述而第七17

【原文】
 子所雅言詩書、執礼皆雅言也。
<子所雅言詩書、執禮皆雅言也。>

(子の雅に言う所は詩書、執礼皆雅に言うなり。)
【読み下し文】
 子(し)の雅(つね)に言(い)う所(ところ)は詩(し)書(しょ)、執礼(しつれい)皆(みな)雅(つね)に言(い)うなり。
※「雅言」は、雅に言うなりとも、「雅言」(がげん)とも読み下す。


「詩」 詩経三百十一篇。本名は毛詩。今は六篇が散佚(さんいつ)して三百五篇残っている。孔子以前の詩で、ひろく天下に歌われ、周室を初め諸侯の間に儀式会合などにも之を誦したものらしい。孔子が整理して三百十一篇あった。孔子も勿論これを学んだが、孔子が門人の教育に詩を重視したことは、論語の全編に見えている。

「書」 書経。本名は尚書。孔子以前の歴代政治の記録。堯・舜依頼の帝王の詔誥から、為政者の政治についての発言や、政治のやり方が詳録されている。孔子の整理の手を歴ているが、原存の書経は、その約半分は一度散佚したために後人の偽作のもの(古文尚書)となった。堯・舜を祖述し、文・武を憲章した(中庸第三十章)孔子の教学には、極めて大切な文献である。

※「詔誥」(しょうこう)は詔(みことのり)を告げる

新釈漢文大系 論語 吉田賢抗著 明治書院刊

【解釈】

子所雅言詩書、執礼皆雅言也。

「雅」(つね)はつねづね、いつも。「雅言」(がげん)はその時代において通行した標準的な発言のことば。「詩」(し)は詩経のこと。「書」(しょ)は書経。「執礼」(しつれい)は礼事を執ること。礼にも礼文がありこの礼文を読むことがある。『礼』とは?|論語、素読会
孔先生が正しい発音で読んだものは詩経と書経であった。礼事を執り行う場合も礼文はみな正しい発音で読まれた。孔子は詩経と書経と礼を尊重したのである。


【解説】

正しい発音で読むとはどういうことでしょうか。正しく理解して読む以前に正しく発音するということは、大切に扱うということではないでしょうか。孔子の時代、方言のような地域ごとに言葉の発達の差があったと考えられますが、このころすでに古典であった詩・書・礼を正しく扱うことは先人の知恵を尊重するということにつながると、考えていたことがうかがえます。


「論語」参考文献|論語、素読会
述而第七16< | >述而第七18


【現代に活かす論語】
過去の文献を正しく読むことは、先人の知恵、しきたりを正しく学び尊重することである。