論語、素読会

必ず復命して曰わく|「論語」郷党第十03

君主がよびよせて賓客の案内を仰せつかったときは、顔色を変えて、敬意を表して小走りで歩いた。立ち並ぶ人に両手を組んで会釈するときは、手を左に右にして、衣服の前後の動きを整えた。早足で進むときはうやうやしく腕の両ひじを張った。客人が帰った後は、必ず状況を報告しておっしゃられた。お客様は振り返ることなく満足して帰られましたと。|「論語」郷党第十03

【現代に活かす論語】
お客様を迎える大役を担うときは、緊張感を持ってテキパキと動き、美しく丁寧な所作で行う。お客様を見送った後、そして満足して帰られたと必ず上司に報告する。

【解釈】

君召して擯たらしむれば、色勃如たり。足躩如たり。与に立つ所を揖すれば、手を左右にす。衣の前後、襜如たり。趨り進むには、翼如たり。賓退けば、必ず復命して曰わく、賓顧みずと。|「論語」郷党第十03
君召使擯、色勃如也。足躩如也。揖所与立、左右手。衣前後、襜如也。趨進、翼如也。賓退、必復命曰、賓不顧矣。

「君」(きみ)は、天子・諸侯・卿・大夫など。「召」(めす)は、よびよせる。「擯」(ひん)は、賓客を案内する。「使」(しむ)は、させる。「色」(いろ)は、顔つき、表情。「勃」(ぼつ)は、顔色が変わるさま。「如」(じょ)は、…ようにする。「躩如」(かくじょ)は、敬意を表して小走りに行くさま。「揖」(ゆうす)は、両手を組んで会釈する。「襜如」(せんじょ)は、衣服の揺れ方が整っているさま。「趨」(はしり)は、早足で駆ける。「翼如」(よくじょ)は鳥が両翼を広げたように組んだ腕の両ひじを張るさま、態度のうやうやしいさま。「賓」(ひん)は、重要な客人。「復命」(ふくめい)は、使命を果たした後その状況を命令者に報告する。「顧」(かえりみる)は、後ろをふりかえる。

君主がよびよせて賓客の案内を仰せつかったときは、顔色を変えて、敬意を表して小走りで歩いた。立ち並ぶ人に両手を組んで会釈するときは、手を左に右にして、衣服の前後の動きを整えた。早足で進むときはうやうやしく腕の両ひじを張った。客人が帰った後は、必ず状況を報告しておっしゃられた。お客様は振り返ることなく満足して帰られましたと。

【解説】

孔子の朝廷での様子を伝える章句です。大役を担うときに孔子が滞りなく礼に倣って役目を果たすところを表しています。中国の映画やドラマなどを参考に秩序だった立ち振る舞いをイメージできればいいのではないでしょうか。
大事なポイントは所作がきれいであること、そして客人が帰った後に必ず報告を行っていたという点ではないでしょうか。朝廷では終始メリハリが利いた態度で職務にあたる孔子の姿を想像するのが楽しいです。


「論語」参考文献|論語、素読会
郷党第十02< | >郷党第十04


【原文・白文】
 君召使擯、色勃如也。足躩如也。揖所与立、左右手。衣前後、襜如也。趨進、翼如也。賓退、必復命曰、賓不顧矣。
<君召使擯、色勃如也。足躩如也。揖所與立、左右手。衣前後、襜如也。趨進、翼如也。賓退、必復命曰、賓不顧矣。>

(君召して擯たらしむれば、色勃如たり。足躩如たり。与に立つ所を揖すれば、手を左右にす。衣の前後、襜如たり。趨り進むには、翼如たり。賓退けば、必ず復命して曰わく、賓顧みずと。)
【読み下し文】
 君(きみ)召(め)して擯(ひん)たらしむれば、色勃(いろぼつ)如(じょ)たり。足躩(あしかく)如(じょ)たり。与(とも)に立(た)つ所(ところ)を揖(ゆう)すれば、手(て)を左右(さゆう)にす。衣(ころも)の前後(ぜんご)、襜(せん)如(じょ)たり。趨(はし)り進(すす)むには、翼(よく)如(じょ)たり。賓(ひん)退(しりぞ)けば、必(かなら)ず復命(ふくめい)して曰(のたま)わく、賓(ひん)顧(かえり)みずと。


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