芝居/ライヴ

中村勘三郎さんの訃報に接して

数々の舞台を拝見しました。

もちろん、すべて観ることはできませんでしたが、私が大好きな方でした。

最近は、二人の息子、七之助、勘九郎とも、素晴らしい役者さんになられて、特に勘九郎は勘三郎さんにそっくりで。益々の活躍を当然のように思っていました。

最後に舞台で拝見したのは、2012年2月20日の立川流 in 平成中村座。http://www.kabuki-bito.jp/news/2012/02/_in_1.html

これまた私が大好きな立川談春のことを「はるさん、はるさん」と呼ばれる姿に、ああ、談春さんの芸風を認めてらっしゃるんだなぁと感じたものです。

この文章を書いていて、少しは落ち着いてきましたが、訃報に触れたあと30分くらいは涙が止まりませんでした。あまり言ってはいけないのだと思いますが、57歳という年齢を考えるとご当人は無念だったかもしれません。

少なくとも私が観ていた勘三郎さんは、舞台の上を疾風のように駆け抜けていらっしゃいました。歌舞伎の舞台はもとより、野田秀樹さんとの「表に出ろいっ!」http://www.nodamap.com/productions/omote/などは本当に奔放で、舞台の中で所狭しと駆け回っていたいた姿が思い出されます。

2004年、コクーン歌舞伎「夏祭浪花鑑」はNY版演出でしたが、舞台の最後あまりの演出の凄さに、思わず桟敷から立ち上がって、大興奮で拍手したのを鮮明に覚えています。周りにも何人も同じように立ち上がって拍手する姿があり、その興奮は私だけではなかったのです。

2010年、やはりコクーン歌舞伎「佐倉義民傳」http://okepi.jp/kangeki/2010/06/20100602.htmlでは、いとうせいこう氏のラップが注目されましたが、百姓一揆を題材としたこの演目を当時取り上げた思いを、深く受け止めました。同じ時期NODAMAPでは「ザ・キャラクター」http://www.nodamap.com/productions/thecharacter/というオウム真理教を総括する芝居があり、演劇が発するメッセージ性、演者の強い思いに圧倒されました。これ以来、更に芝居の魅力に魅入られ、芝居の世界に一歩踏み込むことができたのだと思います。

ざっと、思い起こすだけでも私の観劇人生になくてはならない方でした。現代に生きる数々の究極の芸を体験させていただいて、本当にありがとうございました。

心よりご冥福をお祈りします。