孔先生がおっしゃった、魯の大夫・孟公綽は趙氏や魏氏の家老になれれば充分である。滕や薛の国の大夫になることはできない。|「論語」憲問第十四12
【現代に活かす論語】
大きな組織の役職に就いていたとしても、小さくても企業の経営に求められる能力とは違う。
『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討
04:00「憲問第十四」前半01 – 21 素読
2023.11.29収録
【解釈】
孟公綽(もうこうしゃく) … 魯の大夫。「論語」の登場人物|論語、素読会
「趙」(ちょう)「魏」(ぎ) … 卿(けい)は春秋時代の上級官職。六卿(りくけい)は春秋晋・春秋時代の晋(しん)の六氏の卿。范(はん)・中行(ちゅうこう)・智(ち)・趙(ちょう)・韓(かん)・魏(ぎ)。
「滕」(とう) … 周代の諸侯の国。山東省滕県の西南にあった。
「薛」(せつ) … 周代の諸侯の国。山東省滕県の西南にあった。春秋時代末期に斉に滅ぼされ、斉の一集落になる。
※諸侯(しょこう)は封建時代、天子から領地の所有を認められた国の君主。
子曰わく、孟公綽、趙魏の老と為れば則ち優なり。以て滕薛の大夫と為るべからず。|「論語」憲問第十四12
子曰、孟公綽、為趙魏老則優。不可以為滕薛大夫也。
「老」(ろう)は大臣、家老。「優」(ゆう)は充足したさま。「大夫」(たいふ)は官吏の身分の一つ。中央の要職や顧問など、重要な地位をしめる場合が多い。
孔先生がおっしゃった、魯の大夫・孟公綽は趙氏や魏氏の家老になれれば充分である。滕や薛の国の大夫になることはできない。
【解説】
孟公綽を評する章句です。次の章句にも登場する孟公綽ですが、孔子の評価は高くなかったようです。文献によれば、晋は大国で、滕薛は小さな国であったそうです。大国の上級官職を勤める家の家老と小さくとも一国の長官では職務に求められる能力が違うということで、国を任せるほどの能力はないと言っています。
「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四11< | >憲問第十四13
【原文・白文】
子曰、孟公綽、為趙魏老則優。不可以為滕薛大夫也。
<子曰、孟公綽、爲趙魏老則優。不可以爲滕薛大夫也。>
(子曰わく、孟公綽、趙魏の老と為れば則ち優なり。以て滕薛の大夫と為るべからず。)
【読み下し文】
子(し)曰(のたま)わく、孟公綽(もうこうしゃく)、趙魏(ちょうぎ)の老(ろう)と為(な)れば則(すなわ)ち優(ゆう)なり。以(もっ)て滕薛(とうせつ)の大夫(たいふ)と為(な)るべからず。
「論語」参考文献|論語、素読会
憲問第十四11< | >憲問第十四13