魯の大夫、孟懿子が「孝」について尋ねた。孔先生がおっしゃった、違うことがないようにするのがいいと存じます。御者の樊遅に孔先生がこのようにおっしゃった、孟孫(孟懿子のこと)が「孝」について聞かれたので、違うことがないようにすることがいいと申しますと答えたよ、と。樊遅がそれはどういう意味でしょうか?と尋ねた。先生はおっしゃった、親が生きているうちは礼儀をわきまえ、亡くなった時は礼節をもって葬り、祭礼によって祭る、つまり「礼」を違うことがないようにということだよ。|「論語」為政第二05
【現代に活かす論語】
親孝行とは、親に対して生前に行うことばかりでなく、亡くなってからも礼節通りに葬り祭ること。亡くなった後も疎かにしないことです。
『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討 為政第二05
14:45 章句の検討 為政第二06
19:00 「為政第二」01-24 素読
2021.3.12収録
【解釈】
孟懿子(もういし) … 仲孫(孟孫)氏の第五世、第九代目。名は何忌。懿は贈り名。魯(ろ)の大夫。魯は孔子が生まれ育った国。大夫は周代から春秋戦国時代にかけて領地を持った貴族(王族、公族を含む)のことを呼んだ。彼らは国政に参加していた。論語によく登場する孟武伯(もうぶはく)の父。「論語」の登場人物|論語、素読会
樊遅(はんち) … 姓は樊(はん)、名は須(す)、字は子遅(しち)。孔子より34歳若い。孔子が移動に使う牛車の御者(運転手)を務めた。真面目な人柄で論語にもたびたび登場する。「論語」の登場人物|論語、素読会
孟懿子孝を問う。子曰わく、違うこと無し。樊遅御たり。子之に告げて曰わく、孟孫孝を我に問う、我対えて曰わく違うこと無しと。樊遅曰わく、何の謂ぞや。子曰わく、生けるには之に事うるに礼を以てし、死すれば之を葬るに礼を以てし、之を祭るに礼を以てす。|「論語」為政第二05
孟懿子問孝。子曰、無違。樊遅御。子告之曰、孟孫問孝於我、我対曰無違。樊遅曰、何謂也。子曰、生事之以礼、死葬之以礼、祭之以礼。
「孝」とは父母に対し素直にし従順にすること。ここでは孝行について尋ねている。『孝』とは?|論語、素読会 「生」は生前、「死」は亡くなった後。親孝行を尋ねられているので、親の生前と死後についてです。「礼」とは広く礼儀、父母に対する礼節・しきたり、祭礼などの作法を示します。『礼』とは?|論語、素読会
魯の大夫、孟懿子が「孝」について尋ねた。孔先生がおっしゃった、違うことがないようにするのがいいと存じます。御者の樊遅に孔先生がこのようにおっしゃった、孟孫(孟懿子のこと)が「孝」について聞かれたので、違うことがないようにすることがいいと申しますと答えたよ、と。樊遅がそれはどういう意味でしょうか?と尋ねた。先生はおっしゃった、親が生きているうちは礼儀をわきまえ、亡くなった時は礼節をもって葬り、祭礼によって祭る、つまり「礼」を違うことがないようにということだよ。
【解説】
この章句は2つの構成で成り立っています。まず、孟懿子からの問いに孔子が答えるシーン。そしておそらくその帰り道でしょう、牛車の御者、樊遅に話しかけている場面に転換します。孟懿子に答えた内容だけではうまく理解できなかった樊遅に「礼」の意味を重ねて説明します。第一は礼儀、第二は礼節・しきたり、第三は祭礼の作法です。一緒に移動していた弟子たちにも当然聞こえていたでしょうから、樊遅を通して「礼」に対する孔子の考え方を伝えたと考えていいのではないでしょうか。
「論語」参考文献|論語、素読会
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【原文・白文】
孟懿子問孝。子曰、無違。樊遅御。子告之曰、孟孫問孝於我、我対曰無違。樊遅曰、何謂也。子曰、生事之以礼、死葬之以礼、祭之以礼。
<孟懿子問孝。子曰、無違。樊遲御。子告之曰、孟孫問孝於我、我對曰無違。樊遲曰、何謂也。子曰、生事之以禮、死葬之以禮、祭之以禮。>
(孟懿子孝を問う。子曰わく、違うこと無し。樊遅御たり。子之に告げて曰わく、孟孫孝を我に問う、我対えて曰わく違うこと無しと。樊遅曰わく、何の謂ぞや。子曰わく、生けるには之に事うるに礼を以てし、死すれば之を葬るに礼を以てし、之を祭るに礼を以てす。)
【読み下し文】
孟懿子(もういし)孝(こう)を問(と)う。子(し)曰(のたま)わく、違(たが)うこと無(な)し。樊遅(はんち)御(ぎょ)たり。子(し)之(これ)に告(つ)げて曰(のたま)わく、孟孫(もうそん)孝(こう)を我(われ)に問(と)う、我(われ)対(こた)えて曰(い)わく違(たが)うこと無(な)してと。樊遅(はんち)曰(い)わく、何(なん)の謂(いい)ぞや。子(し)曰(のたま)わく、生(い)けるには之(これ)に事(つか)うるに礼(れい)を以(もっ)てし、死(し)すれば之(これ)を葬(ほうむ)るに礼(れい)を以(もっ)てし、之(これ)を祭(まつ)るに礼(れい)を以(もっ)てす。
「論語」参考文献|論語、素読会
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