孔先生はまれに、天命とひとの徳性とともに豊かさ(富)について話す。|「論語」子罕第九01
【現代に活かす論語】
利益を得ることについて話すときは、天命と道徳とを併せて話すといいでしょう。
『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討
09:50 「子罕第九」前半01-12 素読
2022.3.29収録
【解釈】
子罕に利を言う、命とともに仁とともにす。|「論語」子罕第九01
子罕言利与命与仁。
「罕」(まれ)はほとんどない、まれ。「利」(り)は豊かさ、とみ。「命」(めい)は天から与えられたいのちや運不運など。人力では左右できない境遇、めぐりあわせ。「仁」(じん)は人間が生まれながらにして目指すべき徳性。『仁』とは?|論語、素読会
孔先生はまれに、天命とひとの徳性とともに豊かさ(富)を得ることについて話す。
【解説】
文献によると、「罕」が、「利」だけにかかるのか、「命」「仁」にもかかるのかというふたつの解釈に分かれるそうです。
私の解釈では「利」を単に利益ではなく豊かさやとみを得ることと考え、天命や徳なしで豊かさを得ることはないとしました。
孔子の富についての考えは次の章句から知ることができます。
「裕福になり高い地位に就きたいというのは、ひとが願うことである。(君子は)裕福になったり高い地位に就くために、正しい道理を以てそれを得なければ満足しない。富と貴とは、是れ人の欲する所なり|「論語」里仁第四05」
「富を求めることができるのであれば、行列の先払いの役目であったとしても行おう。(富を)求めることができないのであれば、好きなことをしたいものだ。吾が好む所に従わん|「論語」述而第七11」
孔子は富を求めることを否定していません。天命や徳性を意識しながら豊かさについて語ることは、孔子にとっては当然であったと思うのです。
「論語」参考文献|論語、素読会
泰伯第八21< | >子罕第九02
【原文・白文】
子罕言利、与命与仁。
<子罕言利、與命與仁。>
(子罕に利を言う、命とともに仁とともにす。)
【読み下し文】
子(し)罕(まれ)に利(り)を言(い)う、命(めい)とともにし仁(じん)とともにす。
※子、罕に利と命と仁とを言う。とも読み下す。
「論語」参考文献|論語、素読会
泰伯第八21< | >子罕第九02