論語、素読会

子帥いるに正しきを以てすれば|「論語」顔淵第十二17

季康子が政治について孔子に尋ねた。孔先生が答えておっしゃった、政治は「正」である。あなた(子)が(国を)率いるのに公正さを用いれば、だれが敢えて不正をするだろうか。|「論語」顔淵第十二17

【現代に活かす論語】
政治は公正さである。為政者が公正であればだれが不正を行うでしょう。

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00:00 章句の検討

11:30「顔淵第十二」後半14 – 24 素読
2023.05.15収録

【解釈】

季康子(きこうし) … 魯の大夫。季氏(季孫氏)の七代目。名は肥(ひ)、贈り名は康(こう)。孔子の門人、冉求、子貢、子路、樊遅らを任用し、冉求の求めで孔子を招いたりもした。「論語」の登場人物|論語、素読会

季康子政を孔子に問う。孔子対えて曰わく、政は正なり。子帥いるに正しきを以てすれば、孰か敢て正しからざらん。|「論語」顔淵第十二17
季康子問政於孔子。孔子対曰、政者正也。子帥以正、孰敢不正。

「政」(まつりごと)は政治。「対」(こたえる)は上位者からの質問に答える。「者」は…とは、…というものは。「帥」は先頭に立つ、率先する。ひきいる。「正」は公正で正直なさま。「孰」(たれ)はひとについて問う、だれ。

季康子が政治について孔子に尋ねた。孔先生が答えておっしゃった、政治は「正」である。あなた(子)が(国を)率いるのに公正さを用いれば、だれが敢えて不正をするだろうか。

【解説】

季康子は孔子にたびたび質問をしています。[参照:「論語」の登場人物|論語、素読会]孔子がこの章句のようにピシャリと回答する場合は、往々にしてその質問者である為政者の振る舞いを諌めて徳政を求める場合が多いです。またこのようにシンプルに回答する場合、相手が若かったり、学び始めであると感じます。孔子は高弟に対しては具体的でかつ相手に考えさせるよう回答する場合が多く、若い弟子や弟子以外のひとに対しては明瞭かつシンプルに回答する場合が多いように感じます。こちらもそんな章句です。

【関連章句】
その人物自身の品行が正しければ、命令をしなくても(さまざま)行われる|「論語」子路第十三06
苟くも其の身を正しくせば、政に従うに於て何か有らん。其の身を正しくすること能わずんば、人を正しくすることを如何せん。|「論語」子路第十三13


「論語」参考文献|論語、素読会
顔淵第十二16< | >顔淵第十二18


【原文・白文】
 季康子問政於孔子。孔子対曰、政者正也。子帥以正、孰敢不正。
<季康子問政於孔子。孔子對曰、政者正也。子帥以正、孰敢不正。>

(季康子政を孔子に問う。孔子対えて曰わく、政は者正なり。子帥いるに正しきを以てすれば、孰か敢て正しからざらん。)
【読み下し文】
 季康子(きこうし)政(まつりごと)を孔子(こうし)に問(と)う。孔子(こうし)対(こた)えて曰(のたま)わく、政(まつりごと)は正(せい)なり。子(し)帥(ひき)いるに正(ただ)しきを以(もっ)てすれば、孰(たれ)か敢(あえ)て正(ただ)しからざらん。


「論語」参考文献|論語、素読会
顔淵第十二16< | >顔淵第十二18


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