孔先生が衛の国に行った。冉有が御者としてお供した。孔先生がおっしゃった、人が多いなぁと。冉有が言う、おっしゃるとおり人が多いですね。(先生でしたら)ここに何を加えますか?孔先生がおっしゃった、ここを裕福にしてやりたいと。さらに冉有が言う、裕福になったとして、さらにここに何を加えますか?孔先生がおっしゃった、ここに教育を施したいと。|「論語」子路第十三09
【現代に活かす論語】
多くの人民、社員を目の前にして思うのは、彼らを心豊かにしたいと思い、その上で、教養を高めたいと思う。
『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討
07:25「子路第十三」前半01 – 15 素読
2023.07.27収録
【解釈】
冉有(ぜんゆう) … 冉求(ぜんきゅう)。姓は冉(ぜん)、名は求(きゅう)また有(ゆう)。字は子有(しゆう)。孔子より二十九歳若い。「論語」の登場人物|論語、素読会
子衛に適く。冉有僕たり。子曰わく、庶きかな。冉有曰わく、既に庶し。又何をか加えん。曰わく、之を富まさん。曰わく、既に富めり。又何をか加えん。曰わく、之を教えん。|「論語」子路第十三09
子適衛。冉有僕。子曰、庶矣哉。冉有曰、既庶矣。又何加焉。曰、富之。曰、既富矣。又何加焉。曰、教之。
「子」(し)は孔子を指す。「適」(ゆく)は至る。「衛」(えい)は周代、春秋戦国時代の国名。今の河北省南部、河南省北部一帯にあった。のち、秦に滅ぼされた。「僕」(ぼく)は御者。「庶」(おおい)は人口が多い。
孔先生が衛の国に行った。冉有が御者としてお供した。孔先生がおっしゃった、人が多いなぁと。冉有が言う、おっしゃるとおり人が多いですね。(先生でしたら)ここに何を加えますか?孔先生がおっしゃった、ここを裕福にしてやりたいと。さらに冉有が言う、裕福になったとして、さらにここに何を加えますか?孔先生がおっしゃった、ここに教育を施したいと。
【解説】
「富」そして「教」という孔子のことばの意味を考えたとき、「富」は福祉、「教」は文化として、国家の精神的な安定を整備するという考え方があります。「富」は経済発展、「教」は教育として、国を発展させるための施策という章句から直接受け取る考え方もあります。衛に孔子が赴いたとき、まず、「富」をことばにしたということは、人々に覇気を感じなかったのかも知れません。まず生活の基盤、安定をと願う孔子の本音は、やはり「教」であることは言うまでもありません。
「論語」参考文献|論語、素読会
子路第十三08< | >子路第十三10
【原文・白文】
子適衛。冉有僕。子曰、庶矣哉。冉有曰、既庶矣。又何加焉。曰、富之。曰、既富矣。又何加焉。曰、教之。
<子適衞。冉有僕。子曰、庶矣哉。冉有曰、既庶矣。又何加焉。曰、富之。曰、既富矣。又何加焉。曰、教之。>
(子衛に適く。冉有僕たり。子曰わく、庶きかな。冉有曰わく、既に庶し。又何をか加えん。曰わく、之を富まさん。曰わく、既に富めり。又何をか加えん。曰わく、之を教えん。)
【読み下し文】
子(し)衛(えい)に適(ゆ)く。冉有(ぜんゆう)僕(ぼく)たり。子(し)曰(のたま)わく、庶(おお)きかな。冉有(ぜんゆう)曰(い)わく、既(すで)に庶(おお)し。又(また)何(なに)をか加(くわ)えん。曰(のたま)わく、之(これ)を富(と)まさん。曰(い)わく、既(すで)に富(と)めり。又(また)何(なに)をか加(くわ)えん。曰(のたま)わく、之(これ)を教(おし)えん。
「論語」参考文献|論語、素読会
子路第十三08< | >子路第十三10