どちらかというと、好きではなかった。
「水曜どうでしょう」も見てみるが、引き込まれる魅力は何となく分かる。 だからといって必ず見るという程度までは行かない。TVドラマでも正直、どうでもいい存在だった。
でもね、
震災直後に上演された、同じシス・カンパニー公演、三谷幸喜・演出の「ベッジ・パードン」を見たとき、その皮肉っぽいけど、憎みきれない、独特の存在感に惹かれた。(ベッジ・パードン自体は、ちょっと哀しいお話しだったけど)
そうなると今回の「ドレッサー」は、期待するわけです。
橋爪功演じる大物役者の衣装係、全く筋を知らなくても、そのくらいの想像はつきますな。
チラシを見ても、橋爪功の存在感に負けてないってのは、贔屓目かしら。
さて、当の芝居はっていうと、これが予想以上にいいのですよ。
土曜のマチネなので、カーテンコールは通常1回なんだけど、場内放送が2度アナウンスされても、アナウンスが聞こえない程度の拍手が続き、大泉洋が再び現れるくらい。
お客さんは分かってるんですね。
72歳になって、張り艶のある橋爪功もすごいけど、やっぱりこの芝居は大泉洋あっての演出だったのではないか。
ドレッサーである大泉洋の嫉妬とプライドが発揮されていて、しかもわざとらしくなく、今まで私が観たどの芝居より、軽妙ながら深層に響く印象を与える。
大泉洋が自分の劇団以外に出演するのは、2作目とか。
ってことは、2作とも見ているのは幸運なわけで、大泉洋という希有な役者の価値を、大泉自身がどれだけ気づいているかについても、とても興味深いのです。
タイトルには、怪優って書いたけど、快優ってのも結構はまっているかな?と思ってまして、機会があったら是非舞台の大泉洋にも出会ってみてください。