論語、素読会

知者は人を失わず、亦言を失わず|「論語」衛霊公第十五08

孔先生がおっしゃった、一緒に話し合うべくして、この人と語り合わなければ、その人物を逃す。一緒に議論すべきではないのに、その人と議論してしまえば、失言してしまう。知恵のある者は人(との縁)を逃さず、失言もしない。|「論語」衛霊公第十五08

【現代に活かす論語】
語り合うべき人と語り合えばその人を逃さない。議論すべきでない人と議論すると失言してしまう。

知恵のある人は人(との縁)を失わず、言葉を失わない(失言しない)。

【解釈】

子曰わく、与に言うべくして、之と言わざれば、人を失う。与に言うべからずして、之と言えば、言を失う。知者は人を失わず、亦言を失わず。|「論語」衛霊公第十五08
子曰、可与言、而不与之言、失人。不可与言、而与之言、失言。知者不失人、亦不失言。

「与」(ともに)はいっしょに何かをしたり、動作が関係する対象を表す。「言」(いう)は話す、議論する。「知者」(ちしゃ)は知恵のある者。『知』とは?|論語、素読会

孔先生がおっしゃった、一緒に話し合うべくして、この人と語り合わなければ、その人物を逃す。一緒に議論すべきではないのに、その人と議論してしまえば、失言してしまう。知恵のある者は人(との縁)を逃さず、失言もしない。

【解説】

「言」と「失」を含めて韻を踏むような絶妙な章句です。加えて「人」の発音も似ているので、リズム感を感じます。原文・白文をコピーして翻訳サイトなどで中国語の発音を確認してみてください。孔子の時代と発音が必ず一緒であるという確約はありませんが、音から雰囲気を想像するのも楽しみです。
この章句の味わいは、必要のない議論は失言になり、語らいの機会を逃せば大切な人との縁をそこなうという点です。相手を見極めることも大切ですが、これはと感じたときの押し引きも重要なのでしょう。


「論語」参考文献|論語、素読会
衛霊公第十五07< | >衛霊公第十五09


【原文・白文】
 子曰、可与言、而不与之言、失人。不可与言、而与之言、失言。知者不失人、亦不失言。
<子曰、可與言、而不與之言、失人。不可與言、而與之言、失言。知者不失人、亦不失言。>

(子曰わく、与に言うべくして、之と言わざれば、人を失う。与に言うべからずして、之と言えば、言を失う。知者は人を失わず、亦言を失わず。)
【読み下し文】
 子(し)曰(のたま)わく、与(とも)に言(い)うべくして、之(これ)と言(い)わざれば、人(ひと)を失(うしな)う。与(とも)に言(い)うべからずして、之(これ)と言(い)えば、言(げん)を失(うしな)う。知者(ちしゃ)は人(ひと)を失(うしな)わず、亦(また)言(げん)を失(うしな)わず。


「論語」参考文献|論語、素読会
衛霊公第十五07< | >衛霊公第十五09


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