論語、素読会

子曰わく、女人を得たりや|「論語」雍也第六12

子游が武城の長官であった。孔先生がおっしゃった、お前は補佐役を得ることができたか?と尋ねた。子游が答えて言いました。澹台滅明という者がおります。近道抜け道をせず、公用でなければ私の部屋に来ることはありません。|「論語」雍也第六12

【現代に活かす論語】
公職に就く者の心得として、抜け道などのずるをしない。上司と必要以上の私的な関係性を結ばない。公明正大な行動を心がけたい。

『論語、素読会』YouTube動画
00:00 章句の検討
07:50 「雍也第六」後半11-28 素読
2021.9.10収録

【解釈】

子游(しゆう) … 姓は言、名は偃(えん)、字は子游。武城の町の宰(長官)となる。孔子より45歳若い。

澹台滅明(たんだいめつめい) … 姓は澹台、名は滅明、字は子羽。魯の武城の人。孔子より39歳若い。外見が醜男(ぶおとこ)であったらしいが、公正な人物であった。

武城(ぶじょう) … 魯の国の村の名前。

子游武城の宰たり。子曰わく、女人を得たりや。曰わく、澹台滅明なる者あり。行くに径に由らず、公事に非ざれば、未だ嘗て偃の室に至らざるなり。|「論語」雍也第六12
子游為武城宰。子曰、女得人焉耳乎。曰、有澹台滅明者。行不由径、非公事、未嘗至於偃之室也。

「宰」(さい)は長官。「得人」(ひとをえたり)はこの場合、補佐役を得ることができたかの意。「径」(こみち)は近道、抜け道。「由」(よる)はよりしたがう。「公事」(こうじ)は公職。「未嘗」(いまだかつて)は未だかつて〜せず。「偃之室」(えんのしつ)は子游(偃)の部屋。

子游が武城の長官であった。孔先生がおっしゃった、お前は補佐役を得ることができたか?と尋ねた。子游が答えて言いました。澹台滅明という者がおります。近道抜け道をせず、公用でなければ私の部屋に来ることはありません。

【解説】

文献では子游の人材登用に関する評価や、澹台滅明の公明性に対する評価が解説されています。この章句でふたりの人物評価を行うことより次の点について、学びを得たいと思います。
抜け駆けなどずるをしないこと、公用以外で上司の部屋に来て私的な関係性を重ねないことは、公職に就く者の公明正大性を担保する重要な行動だということです。


「論語」参考文献|論語、素読会
雍也第六11< | >雍也第六13


【原文・白文】
 子游為武城宰。子曰、女得人焉耳乎。曰、有澹台滅明者。行不由径、非公事、未嘗至於偃之室也。
<子游爲武城宰。子曰、女得人焉耳乎。曰、有澹臺滅明者。行不由徑、非公事、未嘗至於偃之室也。>

(子游武城の宰たり。子曰わく、女人を得たりや。曰わく、澹台滅明なる者あり。行くに径に由らず、公事に非ざれば、未だ嘗て偃の室に至らざるなり。)
【読み下し文】
 子游(しゆう)武城(ぶじょう)の宰(さい)たり。子(し)曰(のたま)わく、女(なんじ)人(ひと)を得(え)たりや。曰(い)わく、澹台滅明(たんだいめつめい)なる者(もの)あり。行(い)くに径(こみち)に由(よ)らず、公事(こうじ)に非(あら)ざれば、未(いま)だ嘗(かつ)て偃(えん)の室(しつ)に至(いた)らざるなり。
※「焉耳乎」は『焉爾乎』の「爾」が衍文(えんぶん:間違って入った不要な文字)との説のため「耳」に置き換えたもの。


「論語」参考文献|論語、素読会
雍也第六11< | >雍也第六13


※Kindle版